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「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」家族で読みたい素敵な1冊

2020年3月11日

ネットでも話題を集めるプレイディみかこさんの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」。多様性を作者の実体験をもとに示しつつも、普遍的な理想的なものも描かれている点が印象的です。生まれや育ちに関わらず、愛情や思いやりが素直、正直な関係を作り、やりたいことや、生きがいに繋がるのだと感じます。家族で読んで共有できたら世界がもっと良くなる、そう思わせてくれる1冊です。

目次

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

多様性ってやつは、喧嘩や衝突が絶えないし、そりゃない方が楽よ

英国で「ぼく」が通うイカした元・底辺中学校は、毎日が事件の連続。人種差別丸出しの美少年、ジェンダーに悩むサッカー小僧。時には貧富の差でギズギズしたり、アイデンティティに悩んだり・・・・。世界の縮図のような日常を、思春期真っ最中の息子とパンクな母ちゃんの著者は、ともに考え悩み乗り越えていく。私的で普遍的な「親子の成長物語」。

プレイディみかこ

保育士・ライター・コラムニスト。1965年福岡市生まれ。1996年から英国ブラントン在住。英国で保育士資格を取得し働きながらライター活動を開始。

「多様性」の価値観が広がる

「多様性」の価値観が広がる、そんな印象を読了後、抱きました。自分が想像できる違いは、多様性のほんの一部なのだと感じるとともに、視野を広く持ち続けたいと思わせてくれる一冊になっています。格差、宗教、国家、文化、性差、教育などさまざま。

そういった問いかけや共感を生み出す源泉はノンフィクション作品であることや、英国での物語であるだけことだけではなく、作者とその家族が「素直」「正直」であり続けているからなのかなと感じます。「素直」「正直」といったことを貫き通せる環境は容易ではないし、誰しも同じではないことを「元底辺中学」を選んだことからも教えてくれます。

 

国境を越えた力強さ

本作品は英国ブライトンを中心に描かれる作品ですが、日本生まれの著者の日本人的視点と英国人的視点が生み出す深みが魅力的です。「身分証明書を見えないところで一時的に預かる行為」や「豪雪などの災害時に住民総出で対応」、「プールサイドを完全に分ける」などなど。

そのように国境を超えた見方や問いかけは、多くの読者の心を掴んでいるように思います。今年最も注目されたラグビー日本代表には同じような感覚を覚えます。

世界を目指し、世界を巻き込んでいく確固たるアイデンティティが、心を動かす原動力になるのだと感じます。

 

らしさ溢れる言葉遣い

「配偶者」「元底辺中学校」「母ちゃん」「親父」他にもいくつかの単語が幾度となく登場します。英国に住んでいるのに「親父」、息子を通わせている学校のことを「元底辺中学」、英国人の息子からの呼ばれ方が「母ちゃん」。

なんとなく、親しみあるフレーズは作者が日本人らしさを感じられる点であり、英国の現状や文化、日本とのギャップなどとは対照的となり、遠くの世界のことのような物語を身近な親子の世界にに誘ってくれます。