スタンフォード式最高の睡眠で人生の3分の2も豊かに
「夜な夜な訪れる人生の3分の1の時間が、残りの3分の2も決める」睡眠に携わる研究を長年行ってきた西野精治さんがまとめ上げた一冊はエビデンスに裏打ちされた内容だけではなく、睡眠改善でより他のパフォーマンスを高められることにより貢献したいという熱意を感じる一冊となっています。「最初の眠りの90分」することで、十分に睡眠時間を確保できないビジネスパーソンや、子育て世代、学生など様々な層にも実践できる内容が盛りだくさんとなっています。
睡眠に関わるエビデンス
- 7時間睡眠が最も死亡率が低い。その他は1.3倍リスク増加。(前提として適切な睡眠時間は個人差が大きい)
- 就寝時の豆電球程度の灯りが肥満や脂質代謝異常のリスクを高い
- 明け方に血糖値をコントロールするコルチゾールの分泌量が多い
- 朝に近づくにつれレム睡眠が増加し体温が上昇し交感神経優勢となる。5〜7時は起きやすい
- 朝食を抜き夕食だけを摂取、夕食を重く摂取したマウス実験では肥満に繋がる
- 固形食の噛んで食べるマウスは、噛まずに食べるマウスに比べて睡眠や行動パターンに夜昼のメリハリが見られた
- 30分未満の昼寝をする人は昼寝の習慣がない人に対して認知症発症率が7分の1
- 1時間以上の昼寝習慣がある場合、習慣がない人の2倍以上もリスクが高い
睡眠のミッション
- 脳と体の休息による自律神経の調整
- 記憶の整理(学習後の記憶定着)
- ホルモンバランス調整(過食予防、ストレス、疲労軽減)
- 成長ホルモンの分泌による美肌効果
- 免疫力向上
睡眠の質の低下サイン
- 睡眠時無呼吸症候群
- 歯ぎしり
- 目覚めの悪さ
睡眠要素
体温
トップアスリートは体温を調節しパフォーマンスを向上しようとする取り組みがあるほど、体温とパフォーマンスが密接に関連しているとされます。活動量を高めるためには深部を温める。反対に活動量を減らすためには深部を冷ますことが重要とされます。皮膚温度と深部温度の差を縮める意識が重要です。ただし、放熱が過剰になることは夏風邪などの原因となることは留意が必要です。
就寝90分前の入浴
40℃の湯船に15分間浸かることで、体温が0.5℃上昇させることになり、90分かけて放熱が行われ、体の深部の温度を緩やかに低下させることで、睡眠を促すことが狙いです。即効性を期待する場合、シャワーまたは足湯で体温を上昇させることも手の一つ。表面積が大きく毛細血管が発達している手足は放熱が盛んに行われ効果的。靴下を履いて眠ることは、足からの放熱を阻害してしまう恐れがあります。高反発マットレスは放散熱が0.3℃程度異なるとの報告もあり放熱の観点からも注目ができると言えます。
効果的に体の部位を冷やし覚醒に導く
素足で感覚を刺激し体内温度を上昇させることが有効です。また、手を冷たい水で洗うことも有効です。反対に全体の温度を上げすぎてしまうお風呂や激しい運動は反動による眠気を誘うリスクが伴う。
光
光を意識して調整することは覚醒をコントロールする気軽な方法です。近年ではデジタル機器が生活必需品として定着することによる利便性の向上の一方で、睡眠を阻害する要因となっていることを意識することが重要です。
太陽光は手軽な生活リズムを整える一助に
メラトニンの分泌を覚醒段階で抑える役割が期待でき、夜間に向けて徐々にメラトニンを高めていくリズムを作ることができます。いわゆる体内時計を整えることが期待できます。太陽光限定ではないものの手軽な習慣と言えます。
寝る前のブルーライトは要注意
太陽光と同様、デジタル機器の光は覚醒効果となり、直後の睡眠を阻害する可能性があることから注意が必要です。
食
- 朝食は体温上昇し活動量を高める
- 咀嚼も覚醒に寄与
- 適量の寝酒でギャバ(GABA)によるリラックス効果
やはり食事は人の生活に密接に関わる習慣であることを改めて感じます。食事を摂る、抜く、噛む、成分様々な側面から睡眠に大きく関わっているのが食事であることから意識することは快眠に直結すると言えます。
適度な寝酒とは
お酒は睡眠薬と同様に脳内に含まれるギャバ(GABA)という抑制系の神経伝達物質のアミノ酸の働きを強める作用が期待でき、リラックス効果が期待できます。一方で、利尿作用や脱水の恐れがあるため、適量摂取を厳守することが最も重要となります。体重によりますが、就寝100分前に日本酒(アルコール約15%)を1合(180ml)程度なら睡眠の質を下げないとされます。
空腹を利用する
空腹時はオレキシンの分泌が高まり、交感神経の活発化や体温上昇につながり、覚醒度が高まるとされることから、空腹を調整する意識は重要です。夕食を抜くことはかえって覚醒を促すことにつながることも留意すべきです。
眠気への処方箋 噛む習慣
三叉神経を刺激し覚醒を促すことが期待できます。
一目でわかる1日の睡眠改善プロジェクト
- 起床時間固定(5〜7時が起きやすい)
- 起床アラームは20分の間隔を空けて2つセット(例7時と7時20分)
- 1つ目のアラームは小さめにする(レム睡眠ならば小さいボリュームでも起きやすい)
- 朝日を浴びる
- 朝食を摂取
- 午前中に創造的(負荷の大きい)タスクを組み込む
- コーヒーやガムで覚醒を促す
- 昼寝は20分未満とする
- 昼寝直前にカフェインで準備
- 夕方以降はカフェインを控える
- 夕食は抜かず、食べ過ぎず
- 就寝90分前に入浴
- 就寝60分前にはデジタル機器使用禁止
- 単調作業で活動量を下げる
- 就寝時間固定(一般的に7時間睡眠が死亡リスク低い)
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