塩分との上手な付き合い方(和食≠健康)
「今でしょ!講座」で紹介された塩分に対する常識をまとめさせていただきました。なんとなく減塩すればよいと思いがちな塩分ですが、不足することも大きなリスクを伴うことは注目したいところです。また、塩分過多がどのように身体に影響するかを理解することは、食習慣の改善の第一歩です。食習慣をいきなり転換することは難しい上に体に負担がかかることからカリウムを豊富に含んだ食材で過剰摂取分の塩分を相殺する方法は、有効であることから知っておきたいところです。和食は健康的であるのは確かではなるものの塩分の過剰摂取になりがちなのは注意が必要です。
塩分不足が躓き、熱中症の要因に?
筋肉の動作(躓くリスク)
塩分はナトリウムイオンの元になり体内で電気信号の伝達の役割を担います。脳細胞から神経を介して筋肉に伝達される過程で、ナトリウムが細胞間を移動することで電気信号となって体を動かします。したがって、減塩は体の動作に支障をきたし躓きなどの要因となります。
熱中症リスク
体重×0.3%で一般的な体内の塩分量とされています。また、血中塩分濃度は0.9%程度とされます。過度な運動や炎天下での作業では進んで水分補給を心がけますが、室内で熱中症になるリスクは見過ごされがちです。汗や呼気、排尿などで刻々と水分は失われます。また、水分だけではなく塩分も失われ、最悪の場合、低ナトリウム血症となり細胞が機能せず頭痛や痙攣、最悪の場合呼吸がままならなくなる場合があることから、水分補給と合わせて塩分を摂取することは重要となります。手の甲を掴み3秒内に復元しなければ脱水の可能性が高いとされています。
心臓病や脳卒中のリスクを高める?
一部の研究には、塩分を摂りすぎた方よりも、不足していた方の心臓病や脳卒中のリスクが高かったという報告がなされており注目されています。
塩分の吸収を高める
糖分と同時に摂取することで吸収率を高めることができることから、スポーツ飲料はそのため甘い仕様となっています。アジの開きは、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分を同時に摂取することができ、DHA,EPAが豊富で血流が改善されることにより発汗を活発化できる効果が期待できます。
塩分の摂りすぎによる弊害
塩分チェック項目
- 喉の渇き(濃度を一定化に保つ)
- 顔のむくみ(水分の引っ張り出す)
- トイレの回数が増える(腎臓の排出機能)
塩分過剰摂取は高血圧や動脈硬化に直結
血中塩分濃度は0.9%に維持されていますが、血中塩分濃度が高まることにより中枢神経が指令を出し水分摂取量を増やし濃度を一定化する働きから血液量が増加することで、高血圧に原因になります。高血圧により血管が張り詰めた状態が常態化することにより動脈硬化につながります。総じて、血管疾患や心臓の負担増加による心疾患の大きな原因になり得ます。
塩分摂取目標量と目安
高血圧が高齢者のリスクとなることから、政府が目標値の厳格化を計画しています。成人男性7.5g、成人女性6.5gに2020年に改定される計画です。7.5gとは味噌汁5杯分、たくあん30切れ分、濃口醤油大さじ10杯分が目安です。日本人は9.9gが平均とされています。世界的には6g未満が一般的であることからも日本食、和食が塩分過多であることが明らかであり塩分摂取量に留意する必要があります。
- アジの開き(1尾:80g)1.6g
- せんべい(1枚:5g)0.1g
- きゅうりのぬか漬け(5切れ)1.6g
- 味噌汁(1杯:150ml)1.4g
- 味噌(小さじ1杯:6g)0.9g
- 濃口醤油(小さじ1杯:6g)0.9g
- ロースハム(2枚:30g)0.8g
- 塩鮭(1切れ:71g)1.3g
- 梅干し(1個:10g)
- 昆布佃煮(10g)0.7g
食材で塩分を取り除く!
カリウム、ナトリウム、水溶性食物繊維が塩分を取り除く役割を期待できます。カリウムは水溶性であることから生食摂取は有効手段になります。腎機能の正常な方の場合1日2000〜2500mgの摂取が目安とされています。
腎不全患者にカリウムは突然死の要因に!
腎臓不全などの腎臓関係の持病を持っている方の場合、カリウムの排出が不十分による高カリウム血症となり心臓に対して毒に働き、不整脈や心臓まひ等の急死の原因につながります。したがって、腎機能が低下した方には1日1000〜1500mg以下に制限されることがあることから腎臓機能に留意した上で心がけたい習慣です。生野菜は茹でこぼしや水晒しにすることで摂取量を減らすことができます。
カリウム
- バナナ(1本:150g)540mg
- オレンジジュース(200ml)360mg
- ほうれん草(茹で70g)340mg
- トマト(100g)210mg
- きゅうり(1本:100g)200mg
- インスタントコーヒー(小さじ2杯)140mg
- 玄米ご飯(150g)140mg
- 枝豆(20g)98mg
- ピーナッツ(20粒:12g)89mg
- ひじき(35g)56mg
- みかん(1個)120mg
- じゃがいも(1個)410mg
- 野菜ジュース(1本200ml)310mg
- スポーツ飲料(500ml)100mg
- 鶏肉(100g)300mg
カルシウム
- 厚揚げ(1枚128g)300mg
- 牛乳(1杯200ml)220mg
- ししゃも(3尾36g)140mg
- ヨーグルト(1カップ100g)120mg
- 水菜(1/4束50g)100mg
- 桜えび(5g)100mg
- 小松菜(1/4束55g)83mg
- 納豆(1パック50g)45mg
- ひじき(35g)34mg
- 切り干し大根(10g)6mg
水溶性食物繊維
水と混じり腸内でゼリー状になり、塩分を抱え込み排出する役割が期待できます。腸内フローラ(善玉菌)の餌になり腸内環境改善も期待できます。
- アボカド(1個100g)1.8g
- 納豆(1パック50g)1.2g
- さつまいも(1/3個100g)1.1g
- そば(200g)1.0g
- なめこ(50g)0.6g
- オクラ(3本30g)0.5g
- ごぼう(10g)0.3g
- セロリ(1/2束50g)0.2g
- 切り干し大根(10g)0.1g
- こんにゃく(三角ぎり25g)0.1g以下
簡単調理 大葉生姜のアジ入サラダ(2人前)
食材と調味料
- アジの干物2尾
- 大葉2枚
- 生姜1片
- きゅうり1/2本
- 人参1/3本
- 赤玉ねぎ1/4個
- レモン果汁小さじ2
- 砂糖大さじ1
- 醤油小さじ2
- ごま油小さじ2
- いりごま適量
大葉に豊富に含まれる鉄分を補いつつ、発汗効果が期待できる生姜、ミネラルを補給できるアジを使うことで夏場に失われがちな栄養素を補うことができます。さっぱりしたメニューであり食欲が落ちがちな夏場にも食べやすいことも特徴です。
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