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「1兆ドルコーチ ビル・キャンベル」は「ONE TEAM」を築いていた

2019年12月7日

現在、席巻しているトップ企業、アップル、グーグルの成長、発展を支えたコーチが存在していた。グーグルの元CEOであるエリック・シュミットを中心に「1兆ドルコーチ」として個別の企業だけでなく、シリコンバレー全体の発展に寄与した「ビル・キャンベル」という人物について、関係者から聞き取り、仮説を立て、研究などの裏付けした「1兆ドルコーチ」の本質に迫った内容となっています。

チームをまとめる人、チームの一員として努力したい人、つまりどの世代にも参考になり、人生を豊かにする考え方が詰まった一冊になっています。

目次

1兆ドルコーチ

アメフトのコーチ出身でありながら優秀なプロ経営者。

ジョブズの師であると同時に、グーグル創業者たちをゼロから育て上げたコーチ。アマゾンのベゾスを救い、ツイッター、ユーチューブCEOを鍛え、たった一人で、シリコンバレー中の企業に空前の成功をもたらした伝説のリーダー、ビル・キャンベル。

これまで謎に包まれてきたその驚くべき教えのすべてがいま、初めて明らかにーーー。

共同著者

エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグルは長年グーグルの幹部を務め、現在もアドバイザーなどで活躍されています。

 

最先端企業が示す、個の限界とチームの可能性

天才たちを操る、導く

P104

「規格外の行動」は、一つまちがえれば「常軌を逸した行動」になる。 

天才たちを集める環境を作り、天才たちを育み環境を整え、天才たちの短所を見つめ、長所を伸ばす考え方は、容易なことではありません。しかし、「ビル・キャンベル」がスポーツに関わりを持ち、経験してきた考え方は、ビジネスや最先端部分野においても共通する考え方であることが伺えます。

第一原理」と呼ばれる会社やプロダクトを支える普遍的な考えで方向を示し天才たちを導く発想や、「円卓の背後に控える」という対等な関係を保ちつつも、リーダー、マネジャー、コーチ、上司として決定し方針を示す重要性を説いた内容などには、ハッとさせられます。

「オールスターチームをコーチする」「オールスターチームをONETEAMにする」という発想は損なわれがちですが、大きな発展や価値を生み出すためには、必須な考え方なのだと感じます。グーグルやアップルといった企業だけではなく、急激な発展を遂げているチーム、例えば、ラグビー日本代表などのスポーツの分野でも当てはまるものだと感じます。

グーグル、アップルの根底にあるハート

シリコンバレーでグーグルなどで活躍したエリック・シュミットを中心に著作された本書は、技術や数字が重んじられそうなイメージがある最先端分野でも、愛情や思いやり、優しさ、気遣いといった文化が根底になければ成り立たないことを示してくれます。「人がすべて」と考えた「1兆ドルコーチ」の気づきは、どんな組織にも当てはまる考え方なのだと感じます。

P76

どんな会社の成功を支えるのも、人だ。マネジャーのいちばん大事な仕事は、部下が仕事で実力を発揮し、成長し、発展できるように手を課すことだ。われらには成功を望み、大きなことを成し遂げる力を持ち、やる気に満ちて仕事に来る、とびきり優秀な人材がいる。優秀な人材は、持てるエネルギーを解放し、増幅できる環境でこそ成功する。マネジャーは「支援」「敬意」「信頼」を通じて、その環境を生み出すべきだ。

「支援」とは、彼らが成功するために必要なツールや情報、トレーニング、コーチングを提供することだ。彼らのスキルを開発するために努力し続けることだ。すぐれたマネジャーは彼らが実力を発揮し、成長できるよう手助けをする。

「敬意」とは、一人ひとりのキャリア目標を理解し、彼らの選択を尊重することだ。会社のニーズに沿う方法で、彼らキャリア目標を達成できるよう手助けをする。

「信頼」とは、彼らに自由に仕事に取り組ませ、決定を下させることだ。彼らが成功を望んでいることを理解し、必ず成功できると信じることだ。

 

チームを作る具体的取り組み

P133

最高のチームは「補完的なスキルセットを持つ、性格の似通ったメンバーからなる」ではなく、「心理的安全性が最も高いチーム」

正しいプレーヤーを見つける

P177

会社を運営するなら、本当にずば抜けた人材で周りを固めろ。

  • さまざまな分野の話を素早く取り入れ、繋げる「知性」
  • 「勤勉」
  • 「誠実」
  • 「グリット」=ど根性
  • チームファースト

人を採用するにあたって心がける点で技術的な面はもちろんのことですが、内面的な要素を多く重要視したことが窺える内容となっています。

福祉・医療関係に従事していると、人と付き合う仕事がしたいというような理由はよく聞かれますが、その会社を選んだ理由となると「自宅から近い」「給与がいい」「人間関係を一から構築したい」といったことが最優先となり「患者や利用者を第一主義」がほとんど見受けられないことを痛感します。

会社側が方針を打ち出せてない現状も痛感します。「IT活用」「地域交流」「コスト教育」といった方向性を打ち出し、共感した職員が目標に向かって進める体制を構築することが日本の医療・福祉を一層充実させる方法かもしれないと感じました。

旅の報告

会議の前一人ひとりに週末の出来事や旅の報告、家族の会話などを行う
  • 家庭や仕事以外の側面も共有する目的
  • 一人のチームメイト、人間として楽しんで会議する環境を整える目的

手軽に実践できることですが、始めようと思うと気兼ねしてしまう環境が、ありませんか?という問いかけになっています。トップ企業がそういったことを実践していることに驚きますが、以前に紹介した「アカツキ」の創業者である塩田元規さんの一冊「ハートドリブン」でも同様の考え方が紹介されています。

感情を鍵に心の扉を開く

 

イノベーションのバランス

P86

チームにはイノベーションに取り組む余地があるのか?

イノベーションと業務遂行の本質的な対立関係にどう折り合いをつけているのか?

どちらか一方ではダメだ、バランスを取ることがカギだ。 

以前に勤めていたインフラ企業でも、現在の介護職でも、共通して言えることがイノベーションの活用です。イノベーションを採用し、活用しようとするのではなく、本質的な目標や価値とのバランスを考える必要があることは、言うまでもないことではありますが、忘れられやすい観点だと思います。

イノベーションといった変化に対して「変化に柔軟に対応する」または「変化を利用する」ことが大きなポイントであることを感じます。世界のトップランナーは最も主体的に「変化を生み出し、業界を変える」存在であることを感じます。だからこそ、トップアスリートがトップ経営者になる、トップ経営者が新たなビジネスで成功するといったケースが見られるのだと思いますし、我々も考え方を変化し続ければ可能性は無限大とも言えます。

 

数々の金言

P95

決定を下さないのは、誤った決定を下すよりタチが悪いかもしれない。 

P97

円卓には上座がないが、その背後には玉座がなくてはならない。 

P112

適切な市場に向いた、適切なプロダクトを適切なタイミングで開発できたら、全速前進せよ。

P128

信頼とは「素直さ」だ。ビルはつねに素直で、相手にもそうあることを期待した。信頼とは、相手が契約したことを実現できる才能やスキル、勤勉さなどを持っていると信じる力でもある。

P135

すぐれたリーダーは時間をかけて成長する、そしてそのリーダーシップをつくりあげるのはチームだ。

数え切れない考え方が集まった一冊になっていることは間違いありません。ビル・キャンベル以外にも登場する人物は天才的な方ばかりであり、解釈の仕方や捉え方も学びになる点が多くあります。