「マイオカイン」を高め、最高の疲労回復を実現する!
2020年1月23日
アテネ五輪ハンマー投げ競技で金メダルを獲得した室伏広治さんのメンタリティーや具体な取り組みが詰まった1冊が「室伏式世界最高の疲労回復」です。
超一流ほど「休息」を確保し、疲労を取り除くことが重要であることを感じます。
一流を目指す人だけではなく、新たに何かに取り組む人、環境を改善したい人、より健康に過ごしたい人など幅広い世代が参考になる1冊でもあります。
介護現場で肌で感じていた事象が本書の内容によって、裏付けられる点が多々あったことも印象的でした。
室伏式世界最高の疲労回復
長寿社会を生きる我々は人生を長いスパンで捉え「いかに健康的に、豊かに過ごすか」という視点に立ち自分の身体を見つめ直すことが必要ではないかと思います。
これまでの実績やセオリーにとらわれず純粋な心で自分のなかには「どのような可能性があるか」「何を求めているのか」と問い、身体の声に耳を傾ける大切さに気づいてほしいのです。
室伏広治
1974年静岡県沼津市生まれ。元男子ハンマー投げ選手。現在、東京医科歯科大学教授。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会スポーツディレクター。
シドニー五輪から4大会連続五輪出場。アテネ五輪では金メダルを獲得し、紫綬褒章受章。始球式での投球や
室伏広治のメンタリティーが詰まった一冊
P176
自らの身体を使って「疲れ」を実験してみることです。
P178
この行動(試合や練習や仕事)の目的は何か?
この行動(試合や練習や仕事)によってどんな成果を得たいのか?
どんな工夫をすれば楽しめるか?
本書は具体的な施策(新聞エクササイズや運動、食事の方法)が紹介されており学びが多くありましたが、何よりも興味深かったのが、室伏広治さんのメンタリティーが紹介されている最終章の部分です。
父親との関係や国際大会の経験から得た学びや教訓を踏まえながら、綴られている点はアスリートやビジネスマンだけではなく、これから何かに取り組もうと考えている方や幼児、高齢者にも当てはまるものだと感じます。
超一流のマインドを知ることは容易ではありませんが、本書を通じてそれらに触れることができます。
トレーニングの5原則と3原理
全世代のトレーニングを行う方必見のトレーニングの原理と法則。
昔ながらの根性論や長時間の練習といった内容にとらわれていては、現代のスポーツ界で活躍することはほぼ不可能といったも過言ではないと思います。
P24
小さく始め、徐々に負荷を上げ、無理なく続ける
トレーニングの5原則
全面性の原則
身体機能をバランスよく総合的に鍛えるトレーニングを行うこと。
特定の部位だけ鍛えると全身のバランスが崩れ、パフォーマンスに影響しやすく、怪我をしやすくなる。
意識性の原則
トレーニングの目的を理解し、身体のどの部分を使うトレーニングなのかを意識しながら行う。
漸進性の原則
「漸進」とは少しずつ段階を踏んでいくことであり、トレーニングの負荷や回数、レベルを適切に調整していく。
個別性の原則
個別の状態(年齢、性別、運動歴、生活習慣など)に合わせた適切な度合いのトレーニングを行う。
反復性の原則
継続的にトレーニングを積む。
トレーニングの3原理
過負荷の原理
トレーニングを効果を得るためには、ややきつい負荷をかける。
特異性の原理
目的に応じたトレーニングを行う。
可逆性の原理
コンスタントに負荷をかける習慣が重要であり、継続する環境作りが行う。
超一流ほど意識的に休息を確保する
トレーニングと休息のバランスを整え、質を高める
本書では室伏広治さんが思い切った長期の休息を確保することにより、選手生命を延ばし、高いパフォーマンスを維持し続けたことが紹介されています。
超一流ほど、休息を確保することを意識的に注力しています。
いかにトレーニングの質を高めつつ、休息を確保し次に備えられるかが重要であることを感じます。
「疲れ」の正体
P56
「疲れ」とは、長い間同じことを繰り返したり、繰り返しても成果が出なかったり、他者からの評価が低かったり、興味や関心が持てないことを無理にやり続けることでたまっていく
「やり続けなければいけない」というこだわり、執着、強迫観念が次第に強くなる一方で、「もうやめたい」という気持ちが芽生えてジレンマに陥り、自分を責めたり、周囲を責めたりして、悲観的、否定的な感情が強くなり、次第に楽観的に前向きに物事に取り組むエネルギーが枯渇してしまう
「疲れ」を知る方法
本書ではいくつかのセルフチェック方法が紹介されています。また、関連サイトについても紹介しています。
5分程度でご自身の状態をチェックすることができます。
「疲れ」について考えることすら欠如してしまう状態に陥っている可能性があるため、現状を正しく知ることは重要であり、下記のサイトはその指標になり得ます。
「疲れ」から脱する方法
- 休息をとる
- 環境を変える
- 新しい自分を見つける
運動と健康の深い関わり
握力と健康の関係
高齢者が最も警戒すべきリスクファクターの1つに骨折がありますが、握力と骨折および筋肉には相関性があることが注目されています。
握力の低下は物理的な骨折リスクを高めるだけではなく、活動性の低下などの精神的な要因にも影響しているとされます。
生活習慣病や血管疾患、糖尿病、脂質異常など様々な症状と関連性が指摘されています。
運動は認知機能、思考力の向上に寄与する
10程度の軽い運動が脳の短期記憶を担う海馬やその周辺領域を活性化させ、記録力を改善する働きが報告されています。
1時間のうち2分間程度の運動で死亡リスクが33%低下?
米国ユタ大学にて、1時間にたった2分だけ歩いたり、掃除したりして、身体を動かすだけでも、心臓病などのリスクが低下し、死亡リスクが33%低下したことが報告されています。
私自身もスタンドデスクを採用しています。また、椅子をいくつか用意するなど対策もとっています。
1つの姿勢で長時間留まってしまう環境はスマホ利用やデスクワークなどの環境の変化から今後ますます弊害が指摘される分野だと考えます。
健康増進とパフォーマンスの向上のために姿勢を変える習慣を作りたいところです。
筋肉と健康の関係
太ももの筋肉と健康の関わりや、歩く速度と健康について紹介されており、筋肉と健康が緊密に関係していることがわかります。また、ホルモンとの関わりについては興味深い内容となっています。
介護現場でも、歩行状況の変化が健康状態のバロメーターになることを強く感じます。
車椅子利用が余儀なくされた方は行動範囲が限定されてしまいます。
シルバーカーを利用していても歩幅が狭く、歩行速度が遅い方が体調の変化や転倒により、車椅子の利用を余儀なくされたといった事例は体感として多くあります。
また、入院後、早期にリハビリを積んでいく方法が主流となっているのも上記の考え方を反映していると言えます。
筋肉から分泌される「マイオカイン」は必見!
マイオカインとは
骨格筋から分泌されるホルモン物質の総称です。
myo(筋)kine(作動物質)。
運動などで筋肉をつけることにより分泌を高めることができるとされ、様々な健康作用が注目されています。
マイオカインが健康増進に幅広く寄与する
- 精神不安定
- 認知症
- 血管疾患
- 骨粗鬆症
- 糖尿病
- 肝機能
- アンチエイジング(抗炎症)
- 肥満
- 自律神経
ホルモン分泌の活性は体の様々な機能改善に寄与するとされ、適度な筋トレの継続的な実施が大きなポイントであるとされます。
マイオカインを活性化させる習慣
- 筋トレと有酸素運動(ウォーキングなど)
- やや負荷をかけた運動(スクワットなど)
- 筋肉の形成を促す食事(タンパク質やビタミンDなど)
タンパク質の合成を促進する働きが期待できるビタミンDは、今最も注目されている栄養素の1つです。以前にもいくつか紹介しています。ホルモンのような働きが期待され、様々な疾患や健康状態との相関が報告されています。
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