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「コーヒーが冷めないうちに」考察・感想編

2020年3月12日

目次

コーヒーが冷めないうちに

2017年本屋大賞ノミネート作であり、ベストセラー作品です。
個人の喫茶店というなんとも温かみのある世界観から紡ぎ出される物語は、心を打つものばかりです。何気ない日常の尊さを再認識させてくれる素敵な作品の考察・感想を綴らされていただきます!

作家紹介 川口俊和

作家名:川口俊和
生 誕:1971年
出 身:大阪府茨木市
代表作:この嘘がばれないうちに
その他:脚本家兼演出家であり、COUPLE、夕焼けの唄などが代表作。本作品にて小説家デビュー。舞台「コーヒーが冷めないうちに」を元に書き上げた作品です。ブログをされてますので、本書の元となった舞台について興味がある方は必見です。
川口俊和のブログ

 

コーヒーが冷めないうちに あらすじ

秘密の取引現場のような雰囲気の喫茶フニクニフニクラ。コーヒーの香りと人々の温かみのある雰囲気が漂う老舗喫茶店である一方で、タイムスリップができる喫茶店でもあった。「コーヒーがさめないうちに」という制限時間、「過去に行ったところで、現実を変えることができない」といった数々の条件がある中でタイムスリップを望む女性たち。
突然、結婚を考えていた彼から別れを告げられた女性、夫からの手紙をもらい損ねた女性、妹を不慮の事故で亡くした女性、命と引き換えに出産を望む女性。タイムスリップすることで思いを知る。

 

コーヒーが冷めないうちに 考察・感想

淀みのない文体

淀みなく読み進めることができる文体になっています。そのため、物語の一つ一つにのめり込むことができ、より物語に感情移入でき、感動を呼ぶのではないかと思います。
脚本家、演出家が本業である川口俊和さんだからこそできる業なのだと思います。

コーヒーという大人の要素とタイムスリップという子供の要素がマッチして織り成される物語と、淀みのない文体は、男女問わず、子供からご年配の方まで愉しむことができる作品になっています。

コーヒー香る

表紙のコーヒーと喫茶店の雰囲気に誘われて本を手に取った方も多いと思います。
書店で本作品を見かけたとき、「その手があったか」と思いました(笑)

夏でもコーヒーはホットである。淹れたてのコーヒーの香りが好きなのだ。

コーヒーを前に、目を閉じ、大きく深呼吸した。至福の瞬間である。

個人の喫茶店ならではの、温かみのある雰囲気と、今にも漂ってきそうなコーヒーの香りが表現される本作を読了した方なら誰しも、喫茶店に行こうかなとかドリップのホットコーヒーが飲みたいなと思ったのではないかと思います。

タイムスリップして見えたもの

心ひとつで、人間はどんなつらい現実も乗り越えていけるのだから、現実は変わらなくとも、人の心が変わるなら、この椅子にもきっと大事な意味がある・・・

女性たちは、タイムスリップすることで、本来は見えなかった思いを知り、改心する。

親密な関係であるほど、お互いの思いを知って感じているからこそ、「思い」を伝えることが小恥ずかしくなり、ひけらかしてように思われるのではないかと私は思うことが多いですが、「思い」を素直に話してみるという、本当にシンプルなことこそが、この物語の女性たちのような思いをさせない方法ではないかと思います。「思い」を伝え、「思い」を知ろうとすることの大切さを改めて感じさせていただきました。