40℃のお風呂に10分間が最適
多くの方が行っている習慣が入浴ですが、ただ清潔を保つだけではなく、健康に与える影響も大きい習慣でもあります。年間5500人もの方が浴室で亡くなっていることを認識しながらも、より効果を得られるように入浴することできればよい健康習慣になります。介護現場でも入浴に対して億劫になってしまうこと利用者がいますが、共通して言えることは、活動性や意欲の低下に繋がることです。よって定期的に機会を設けています。それほど重要な要素でもあります。
お風呂の効用
毎日お風呂に入ることで将来要介護になるリスクが29%減少した |
入浴することにより、様々な効果が期待できます。シャワーでは効果が得れれない静水圧作用と呼ばれる水圧による血流改善なども見込めます。また、ツールや違った心がけと組み合わせることでより効果を高めることができます。要介護度になる要因のいくつかを入浴で補えることが期待できるのは魅力的です。
40℃の湯船に10分間で血流改善効果
40℃の湯船に10分間浸かることが効果を最大化できるとされますが、1℃異なるだけでも体の負担は変わってくるとされ注意が必要です。40℃では、tーPAと呼ばれる血栓を溶かす作用が期待できる成分が最も期待できるとされます。40℃の入浴により37~39℃の体温を維持でき活性化される温度帯であるからです。10分以上の入浴は反対に体の負担になりとされ脱水症状による血流悪化などにも繋がるとされます。41℃の湯船に15分間浸かるだけでも800ccの水分が失われるほどです。
脱水がもたらす影響について別の記事で紹介しています。
t-PAとは
血栓溶解薬の一種で日本での臨床的に用いられている製剤の一つです。血栓を溶かす作用が期待できるとされます。投与することで血管の詰まりによる影響を大きく軽減することができるとされます。
入浴時の一工夫で効果を高める
- 入浴前にカフェイン、入浴後に牛乳を摂取
- 炭酸泉や塩風呂
- 鼻歌、音楽鑑賞
- 照明を暗くする
- 観葉植物を置く
- 歯を磨く
- 背中や足裏をほぐす
血流改善の相乗効果が期待できるカフェインや、失われたミネラルを補給できる牛乳は有効です。また、入浴剤や音楽、照明を暗くするといったことによりリラックス効果が期待できます。そもそも入浴することでリラックスしアセチルコリンが増加するとされます。アセチルコリンの減少は認知症の要因ではないかとする見方があり、リラックスし副交感神経を刺激することが重要とされます。歯を磨くことで歯や歯茎を刺激し血流を活発化させることが期待できます。とにかく、目を使うことが自律神経を優位にしてしまいリラックス環境を阻害してしまうことから、目を休めることを意識したいところです。
入浴の時間帯
- 食後より食前
- 運動直後は避ける
- 就寝の90分から120分前入浴で快眠
食後は胃の消化に血液が活発に使用されますが、入浴することにより血流が全身に回ってしまい、消化不良などの原因になります。食後低血圧で食後に意識が薄れてしまうような利用者がいることからも、消化による身体の影響は高齢者になるほど留意する必要があります。
運動後は炎症反応を起こしており、温めてしまうことは悪化に繋がります。したがって冷やすことが有効とされます。
睡眠と体温の関係が注目されており、入浴による深部体温の上昇から、時間の経過とともに低下していくタイミングが寝付きやすいとされ注目されています。深部体温を逃がそうと足や手の毛細血管が発汗作用し徐々に逃がしていくとされます。睡眠については別の記事で紹介しています。
アセチルコリンとは
副交感神経や運動神経から放出される神経伝達物質で筋肉の収縮や興奮、記憶、認知機能、睡眠覚醒など様々な生理機能に関与している |
アセチルコリン濃度の低下が運動障害や認知症との関連が指摘されています。レム睡眠時に特に分泌され記憶の整理定着に寄与すると考えられ、睡眠の時間や質が低下することが認知症リスクにさらされる要因の一つがアセチルコリンの可能性があり、注目されています。その他にも、アセチルコリンの減少による働きの低下により下痢や便秘の要因とも考えられています。入浴だけではなく、食事、運動、睡眠、生活習慣(禁煙など)の習慣が関わっています。
アセチルコリンの関連成分であるコリン・レシチンついて別の記事でも紹介しています。
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